趣味
『佐賀のがばいばあちゃん』 島田洋七 徳間文庫 514円
映画にもなりました。子どもの難しく応えにくい疑問に、ばあちゃんがスパスパ応じていく様は、とっても心地よいです。どんなことがあってもぶれないばあちゃんが、キツイ境遇の中でも子どもを壊さなかったのだと思います。こういう強さが大人にあれば、ほとんどの子どもが、安心して泣いて、怒って、最後には笑えるようになるような気がします。
ちなみに、私の田舎は佐賀県です。
『裁判長!ここは懲役4年でどうですか』 北尾トロ 文春文庫 629円
裁判所の傍聴に通っている作者が裁判所の世界を描いています。個人的には、非常に興味深い世界です。なぜならば、専門家が集まる場所ほど世間の非常識が常識に変化しているからです。きっと不思議なことが起こっているはず・・・
この本の中で作者は、傍聴人が多いと裁判官・検察官・弁護士等々の意気込みが違う、だから、傍聴人も必要なんだと言っています。それぞれの関係者(被告人やその家族等の案件関係者)にとってはどんな案件も一大事だと思うのですが、裁判所のスタッフにとっては日々の業務の1コマへと麻痺していくところが、こういったギャラリーによって引き締まるというのです。そうでなくても、いつもピシャッと仕事してほしいもんですが、人間、そんなに強くはないので、時には、第3者に見られるという環境統制が必要だということかと。
私も、この意見は賛成です。
裁判所だけでなく、学校・病院・幼稚園・施設・役所等々、その個人の倫理観だけに頼らずに傍聴人をたくさん募って見られる環境を整えること、それから傍聴人も批判する腕をあげること。単に挙げ足とりに行くのではなく建設的な批判ができるようになることが、サービスの質をあげる1つの方法だと思います。
『家族の練習問題』 団士郎 ホンブロック 1239円
児童相談機関や障害者相談機関を経て、現在、立命館大学院教授、本の執筆等をされている心理屋さんが書いています。最初のお話、不登校(内容から察するに)になった子どものお母さんをカウンセリングしている時の1コマ、お母さんが、「どうしてうちの子が学校に行かなくなったんでしょう。」と言ったことに対し、あるカウンセラーが「幼児期にしっかり抱きしめてあげなかったからです。」と、応えています。そのカウンセラーに著者が一言、「見たんか!」。この一言に惚れて買ってしまいました。それぞれが短い、身近な出来事を題材にしたお話です。できれば、多くのご両親に読んで頂きたいです。療育の仕方とかいうことではなく、家族のあり方を考えさせられる内容です。個人的には、非常に近い価値観だと思いました。